研究・インサイト
ビール酵母を飼料・ペットフード原料として輸入するためのガイド|成分・配合率・日本の届出
公開日

飼料用ビール酵母は、ビール醸造後に回収した酵母(Saccharomyces cerevisiae)を加熱乾燥して不活化した原料です。粗たん白質が40%を超え、ビタミンB群を含むため、ペットフード、養魚飼料、畜産・家禽飼料に利用できます。日本へ輸入する際は、用途ごとに飼料安全法またはペットフード安全法のどちらが適用されるかを確認し、輸入業者の届出、規格書、分析証明書(CoA)を準備することが欠かせません。
本記事は日本のバイヤー向けの一般情報であり、法的助言ではありません。規制は変更されることがあります。最新の要件は、必ず輸入業者、通関業者、または関係省庁にご確認ください。
乾燥ビール酵母はどのような飼料原料ですか?
乾燥ビール酵母は、ビール醸造で役目を終えた酵母を回収して乾燥させた原料です。Feedipediaはビール酵母を主にたん白質、ビタミン、ミネラルの供給源と説明しています。同ページの栄養データでは、粗たん白質は乾物換算で平均48.9%(範囲39.3〜56.8%)です。
酵母が不活化されているかどうかは重要な確認点です。Feedipediaによると、生きた酵母は豚で消化器のトラブルを起こすことがあります。そのため飼料用には、乾燥工程で不活化された製品を選びます。
TBESBYはドラム乾燥で不活化したビール酵母です。ベトナムの大手国際ビールメーカーから供給される新鮮なビール酵母を使用しています。TBESは2016年からビール酵母事業を手がけています。
ビール酵母の栄養成分は?
購買判断では、規格値と実際の分析値の両方を確認します。下表は、TBESBYの規格値と、2026年に第三者分析機関が1検体を分析した結果です。
| 項目 | TBESBY規格値 | 第三者分析結果(2026年、1検体) |
|---|---|---|
| 粗たん白質 | 40〜46% | 43.1% |
| 水分 | 10%未満 | 6.4% |
| 粗灰分 | 6%未満 | 4.8% |
| リジン | 30.5 g/kg | — |
| ビタミンB1 | — | 49 ppm |
| ビタミンB2 | — | 18.8 ppm |
| ビタミンB3(ナイアシン) | — | 132 ppm |
| アフラトキシンB1 | — | 定量下限(1 ppb)未満 |
| サルモネラ | — | 不検出 |
また、ISO 21569に基づくスクリーニングでGMOは検出されませんでした。賞味期限は12か月です。詳しい規格は製品ページ(英語)をご覧ください。
ペットフード、養魚飼料、畜産飼料には一般にどのくらい配合しますか?
配合率は動物種と成長段階で変わります。下表はtbesby.comで公開している一般的な配合率の目安です。最終的な配合は、各社の栄養設計担当者が飼料全体のバランスを見て決めてください。
| 用途 | 一般的な配合率(飼料中) |
|---|---|
| ペットフード | 1〜3% |
| えび・魚(養殖飼料) | 2〜5% |
| 子豚 | 2〜4% |
| 育成・肥育豚 | 3〜6% |
| 家禽 | 2〜8% |
| 牛・羊 | 3〜5% |
外部文献の数値も参考になります。Feedipediaは、豚では飼料の2〜5%での使用が推奨されるとする文献(Blair, 2007)を紹介しています。同ページでは、ニジマスやスズキ類で魚粉の一部を置き換えた試験も紹介されています。
ペットフードでの使い方はペットフード向けページ、養殖飼料については養魚飼料向けページにまとめています(いずれも英語)。
飼料用酵母を日本へ輸入するとき、どの法律が関係しますか?
用途によって関係する法律が分かれます。家畜・養殖魚向けは飼料安全法、犬・猫向けはペットフード安全法です。
家畜・家禽・養殖魚向け:飼料安全法
正式名称は「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律」です。農林水産省は、法令や関連する省令を飼料の安全性の確保に関するページにまとめています。
農林水産省のQ&Aによると、対象となるのは牛、豚、鶏、うずら、羊、山羊、鹿、蜜蜂、政令で定める養殖水産動物などに与える飼料です。えび類を含む具体的な対象魚種は、飼料安全法に関するQ&Aと政令で確認してください。
成分の規格や製造方法の基準は「飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令」で定められています。FAMICは省令の本文を公開しています。乾燥ビール酵母がどの規格の対象になるかは、輸入業者が省令に照らして確認します。
犬・猫向け:ペットフード安全法
犬・猫用のペットフードは「愛玩動物用飼料の安全性の確保に関する法律」の対象です。環境省のペットフード安全法の概要によると、農林水産省と環境省が共同で所管します。ペットフードの輸入業者と製造業者には届出が、輸入業者・製造業者・卸売業者には帳簿の備え付けが義務付けられています。
酵母を原料として輸入し、国内でペットフードを製造する場合にどの届出が必要かは、取引形態で変わる可能性があります。輸入業者と管轄窓口に事前に確認してください。
輸入業者の届出はいつ、どこに出しますか?
飼料安全法では、飼料の輸入業者は事業開始前に届け出る必要があります。農林水産省の事業者向けページは、事業開始の2週間前までに、本社所在地の都道府県の畜産担当部局へ提出するよう案内しています。
Q&Aでは、根拠は飼料安全法第50条第1項とされています。届出内容の変更や事業の廃止は、1か月以内に届け出ます。さらにGMPガイドラインに基づき、前年の輸入数量を毎年7月31日までに報告します。
申請様式は、FAMICの各種申請・届出・報告手続きのページにまとまっています。手続きの詳細や電子申請の可否は、提出前に都道府県の窓口で確認してください。
FAMICはどのような役割を担っていますか?
FAMIC(独立行政法人農林水産消費安全技術センター)は、飼料分野で検査と分析を担う機関です。FAMICの飼料ページでは、立入検査の試験結果、飼料分析基準、届出様式などを公開しています。
有害物質の基準もFAMICのページで確認できます。飼料中の有害物質等の基準では、家畜用配合飼料のアフラトキシンB1は0.01〜0.02 mg/kgと、畜種ごとに定められています。これは配合飼料の値ですが、原料段階で低い値を確認しておくと配合設計が楽になります。
規格書・CoAでは何を確認すべきですか?
初回の発注前に、下表の項目を規格書とCoAで確認します。数値は分析方法と定量下限もあわせて見てください。
| 確認項目 | 確認する内容 | TBESBYの場合 |
|---|---|---|
| 原料と菌種 | Saccharomyces cerevisiae、ビール醸造由来であること | ベトナムの大手国際ビールメーカー由来の新鮮なビール酵母 |
| 不活化と乾燥方法 | 不活化されていること、乾燥方法 | ドラム乾燥、不活化済み |
| 一般成分 | 粗たん白質、水分、粗灰分の規格値と分析値 | たん白質40〜46%、水分10%未満、灰分6%未満 |
| アミノ酸・ビタミン | リジン、ビタミンB群 | リジン30.5 g/kg、B1・B2・B3の分析値あり |
| カビ毒 | アフラトキシンB1の値と定量下限 | 1 ppb未満(2026年分析) |
| 微生物 | サルモネラの結果 | 不検出(2026年分析) |
| GMO | 試験方法と結果 | ISO 21569スクリーニングで不検出 |
| HSコード | 出荷書類上のコード | 2102.20(21022010) |
| 荷姿と供給量 | 包装形態、年間供給能力 | フレコン600〜1,200 kg(他の荷姿は相談可)、年間3,000トン |
| 賞味期限 | 製造日からの期限と保管条件 | 12か月 |
CoAの読み方はビール酵母CoAの読み方で、米国・EUの制度は飼料規制のガイドで解説しています(いずれも英語)。日本の関税率や必要書類は、通関業者に確認してください。
ベトナム産ビール酵母を選ぶときのポイントは何ですか?
供給の安定性、書類の整備、原料の由来の3点を確認します。年間の必要量に対して、供給能力と荷姿が合うかを見ます。TBESBYはバルク供給で、年間3,000トンの供給能力があります。
書類面では、FDA登録の有無やGMO試験の結果も判断材料になります。TBESはFDA登録を取得しています。日本の輸入業者が求める書類の形式は、早い段階で共有してください。
関連ガイド
参考資料
- Feedipedia – Brewer’s yeast
- 農林水産省 – 飼料の安全性の確保
- 農林水産省 – 飼料安全法に関するQ&A
- 農林水産省 – 飼料及び飼料添加物を製造・輸入・販売する事業者の方へ
- FAMIC – 飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令
- FAMIC – 飼料関係(立入検査・分析・報告)
- FAMIC – 各種申請・届出・報告の手続き
- FAMIC – 飼料中の有害物質の基準
- 環境省 – ペットフード安全法の概要
よくある質問
ビール酵母を飼料として輸入するには届出が必要ですか?
飼料安全法では、飼料の輸入業者は事業開始の2週間前までに届け出ます。提出先は本社所在地の都道府県の畜産担当部局です。具体的な手続きは輸入業者と窓口で確認してください。
ペットフード用のビール酵母はどの法律が関係しますか?
犬・猫用のペットフードはペットフード安全法の対象で、輸入業者と製造業者に届出義務があります。原料として輸入する場合の扱いは取引形態によるため、事前に確認してください。
ペットフードへの配合率はどのくらいですか?
tbesby.comで公表している推奨範囲は1〜3%です。最終的な配合率は、製品の栄養設計に合わせて決めてください。
日本語の書類を用意してもらえますか?
TBESチームとのやり取りは英語で行います。規格書と分析証明書(CoA)は英語で提供し、日本での手続きに必要な書類の形式は輸入業者と相談のうえ決めます。規格書やサンプルが必要な場合は、お問い合わせページからご連絡ください。TBESチームが英語で対応します。